6月12日20時50分配信 毎日新聞
安倍晋三政権で初の「骨太の方針2007」の原案は、7月の参院選に配慮して、国民の痛みを伴うテーマを軒並み先送りした。国民生活に直結する消費税率引き上げを含む税制改革は「07年秋以降、本格的な議論を行い、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」と抽象的な表現にとどまった。地方の税収格差是正策は具体的な道筋が示されず、歳出削減の象徴だった「公共事業関係費」の削減目標の明記も見送られ、「骨太」と呼ぶには大きな疑問符の残る内容になった。
消費税率引き上げ問題は、昨年の「骨太の方針06」では「07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的改革を実現するため、鋭意作業を進めていく」と明記されただけに、安倍政権での対応が注目された。しかし、安倍首相は1月の施政方針演説で早々と「秋以降、本格的な議論を行い、消費税を含む税体系の抜本的改革に取り組む」と先送りを宣言した。
自民党税制調査会の津島雄二会長も4月の講演で「税制は参院選の争点にすべきではない」と応じ、その後の経済財政諮問会議で消費税論議は事実上のタブーとなった。この結果、政府税制調査会(首相の諮問機関)や、増税に意欲的な立場をとってきた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)も骨太の方針に足並みをそろえ、実質的な議論は秋まで封印された。
小泉政権で定着した「公共事業関係費」の削減目標は、昨年の「骨太の方針」では、11年度までの歳出改革の数値目標として「前年度比1~3%削減」が明記され、今回も「3%削減の堅持は当然」(財務省)と見られた。しかし、参院選を控える自民党国会議員から「地方経済に配慮してほしい」との要望が相次ぎ、削減目標は盛り込まれなかった。財務省は政府・与党内に広がる「財政規律の緩み」への警戒を強めている。
一方、地方の有権者に受けそうな「ふるさと納税」は前向きな検討が盛り込まれた。もっとも、地方自治体間の税収格差については、「地方分権の時代にふさわしい国税・地方税の設計が重要」として「格差の是正を目指す」としたものの、具体的な検討はこれからという段階だ
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